ゲームを使用した性能調査

ゲームソフトを使用したレスポンス性能調査

研究員T

PS→USB変換器のコマンド成功率によるレスポンス調査

検証環境従来の連射速度限界測定装置を使用したレスポンス計測方法は変換器の最高入力限界がどれぐらいあるのかは数値として表せますが実際にゲームで使用した場合にその数値で入力ができる訳では無いという所が問題でありました。ゲームソフト側がパッドの情報を読みに来る間隔もソフトの仕様によって制限されていますしその設定値もゲームソフトの仕様によって差違があります。またUSB変換器の検証は車にたとえて言うならば最高速度80k/mしか出せない軽自動車と最高速度200k/m出せるスポーツカーで制限速度100k/mでしかも所々にちんたら走っている車がたくさん居るUSB高速道路で競争をしているような物です。それでも制限されているとしてもスピードは出せた方が良いので最高入力限界は高いに越したことはないのですが。

今回はコマンド登録可能なPSコントローラを使用して登録されたコマンドを送信した場合の成功率を実験してみました。スピタル製プログラマブルジョイスティック「SLPH-0008」を使用して実験を行ないました。このコントローラは20ステップまでのコマンド登録が可能で送信タイミングを256段階に可変する事ができますので今回の実験には最適でした。ゲームソフトはGUILTY GEAR X(ギルティギアゼクス)使用しましたトレーニングモードで入力したコマンドが表示されるので入力したコマンドが正常に認識されているのか確認することができます。

なるべく最低の状態でどの程度使えるのかを調べる為に検証に使用したマシンはなんとかゲームが出来る程度のスペックです。もっと速いマシンであれば今回の計測データよりは良い結果が得られるかもしれません。

検証器材

Mother board : JETWAY 603TCFL
CPU: Celeron 1GHz Memory: 128MB
OS: Windows98SE Windows2000SP4

スピタル産業製 プログラマブルジョイスティック「SLPH-0008」

ARC SYSTEM WORK社製 GUILTY GEAR X(ギルティギアゼクス)

DPPケーブルを使ってGUILTY GEAR Xの入力限界を計測する

現時点で入力限界が最も高い接続方法はWindows98上でDPPケーブル+Direct Pad Pro 5.0を使用した場合の176回/秒ですのでこの環境を利用して検証マシンでGUILTY GEAR Xを動かした場合の入力限界を調査します。

プログラマブルジョイスティック「SLPH-0008」のコマンド送信タイミングは速い方に12段階、遅い方に244段階に可変できるという曖昧な表現でしたので実際の時間をオシロスコープにて測定したところボタンとレバー1ステップあたりの押し時間はデフォルトで0.07秒に設定されており一段階あたり0.0048秒増減する仕様になっていました。

一番長いコマンドを検証に使用するためにキャラクターはメイを使用し一撃必殺技の「メイと愉快な仲間たち」を100回入力し成功した回数を数えるという方法で検証を行ないました。

入力コマンド
メイと愉快な仲間たち

Windows98 DPPケーブル+Direct Pad Pro 5.0

タイミング段階数 送信タイミング 秒間入力数 成功率 備考
デフォルト 0.07秒 14回 57% コマンドは正常に入るが遅すぎて認証されない場合がある
UP3段 0.0556秒 18回 100%
UP4段 0.0508秒 20回 100%
UP5段 0.046秒 22回 100%
UP6段 0.0412秒 24回 100%
UP7段 0.0364秒 27回 90% 稀にコマンドが欠ける

以上の結果から検証環境での入力限界は0.0412秒とし、このタイミングで各変換器にコマンド入力し成功率を調査します。

公正を期す為に4つのボタンを同時押しにし一撃必殺ゲージに切替えキャラを密着させた状態にしコマンド表示が消えるまで2,3秒待って事前のボタン入力の影響が無くなってから「メイと愉快な仲間たち」コマンドを登録したボタンを押すという手順で行ないました。

時間の単位は70msと表現するより0.07秒というように表した方が感覚的に判りやすいので秒表示にしました。

各変換器のコマンド成功率

送信タイミングをUP6段の0.0412秒に設定してWindows98SEで成功率を検証してみました。検証に使用したマシンでGUILTY GEAR X側が受容する最高速度で入力した場合の成功率であって記載のパーセントでしかコマンドが入らないという意味では有りません。ゆっくりと入れても認識されるようなゲームであれば成功率は上がると考えられます。

コマンド成功率

メーカー名 型番または品名 PS端子数 最高入力限界 成功率 備考
PS-DPPケーブル 176回/秒 100% パラレルポート接続
スピタル AT-P01 39回/秒 90%
エスケイネット SMART JOYPAD 3 30回/秒 88%
エレコム JC-PS101USV 37回/秒 85%
ロアス JOX-U302 19回/秒 58%
エレコム JC-PS102USV 6回/秒 39% 成功した時も斜め要素が欠けまくり
エスケイネット SMART JOYPAD 3Plus 6回/秒 17% ←↓→というように斜め要素が抜けても認証された

※ こちらの表は資料として今後検証した変換器を随時追加してゆきます。

同じ環境でWindows2000 DPPケーブル+Psxpadを試してみる

Psxpadの入力限界は44回/秒で数値上ではUSB変換器よりも少し良い程度でしたので今回の比較検証はWindows98SE使用しましたがやはりパラレル接続だけ有って100%成功することが出来ました。100%認識される範囲がDirect Pad Pro 5.0を使用した場合よりも若干遅めになっています。

Windows2000 DPPケーブル+Psxpad ver 0.8.2002.06.06c

タイミング段階数 送信タイミング 秒間入力数 成功率 備考
デフォルト 0.07秒 14回 68% コマンドは正常に入るが遅すぎて認証されない場合がある
UP3段 0.0556秒 18回 99% 1回だけコマンドは正常に入るが遅すぎて認識されない
UP4段 0.0508秒 20回 100%
UP5段 0.046秒 22回 100%
UP6段 0.0412秒 24回 90% 稀にコマンドが欠ける

USB変換器では100%は出ないのか?

送信タイミングを変えて成功率がどの様に変化するのか検証してみました。

Windows98SE AT-P01

タイミング段階数 送信タイミング 秒間入力数 成功率 備考
デフォルト 0.07秒 14回 61% コマンドは正常に入るが遅すぎて認証されない場合がある
UP3段 0.0556秒 18回 94% 稀にコマンドが欠ける
UP4段 0.0508秒 20回 92% 稀にコマンドが欠ける
UP5段 0.046秒 22回 96% 稀にコマンドが欠ける
UP6段 0.0412秒 24回 90% 稀にコマンドが欠ける
UP7段 0.0364秒 27回 80% 頻繁にコマンドが欠ける

下記図の様にUSBの場合はボタン押しの認識にムラがある為おしいところまでは行きますが100%成功は無理なようです。青い○で示したような箇所にボタン押しのタイミングがぶつかると自分が押した時間よりも長く入力される為その後に押した入力が1個抜けるなどの現象を起す様です。全体的に密になったり粗になったり間隔が一定ではありませんので認識が粗な部分は押しても認識されないという事も起り得ます。それでも96%もあれば自分の入力ミスなのか変換器の性能なのかは判断が難しいと思います。

USBむら

ここまで書いて

感覚的なコマンドが入った入らないというも中々あてになるなと思いました、ほぼ言われている通りの結果になったと思います。意外だったのはSMART JOYPAD 3が結構成功率が高かったことです、最高入力が30回/秒までしかありませんが成功率は高かったです。BURUTTERがレスポンスが良いと言われていたのはこの辺りに秘密が有りそうですね、今回は本当に勉強になりました。

そして!実験中にとんでもない物を見つけてしまいましたっ!エレコムのJC-PS102USVは昨年レスポンス計測した時に最高入力が19回/秒だと資料は取っておいたのですが実機を紛失してしまい再度買い直しました、上の結果を見ていただければ判りますがロアスのJOX-U302と比べコマンド成功率が低いので再度計測して見たところ最高入力が6回/秒しかないというとんでもない地雷でした。新バージョンのファームに変えて性能が悪くなったの??どうして?

それからこの検証方法はキツすぎですね。当分ギルティギアは見たくもないです(笑

お断り

これらの検証はもちろん我々が独自に行ったものなのでPC本体の性能や状態により差違が生じます。まだまだ不備な点もあると思います。検証結果はあくまでも参考程度に考えておいてください。